幸せとは何なのか、どんな状態を幸せというのか、幸福について研究されてきた心理学者、大学教授の考えをまとめてみした。
マーティン・セリグマン
アメリカの心理学者で、ポジティブ心理学の創始者の一人です。彼は、幸せや幸福感を追求するための「PERMA」モデルを提唱しました。PERMAとは、以下の5つの要素を指します。
Positive emotion(ポジティブな感情):喜びや楽しみ、愛、安心感など、心地よい感情を経験することが大切です。セリグマンは、人間は「楽しいことを増やす」ことができると主張し、日常生活の中で自分にとって心地よいことを見つけることを推奨しています。
Engagement(没頭):自分自身が没頭して取り組むことや、自分のスキルや才能を活かすことが、幸福感につながると考えています。また、目標を設定し、その達成に向けて努力することで、達成感を得ることができ、幸福感が高まると言われています。
Relationships(人間関係):良好な人間関係を築くことが、幸福感に重要であるとされています。セリグマンは、「他人との関わり方が人生において最も重要なものの一つである」と主張し、友人や家族、恋人など、自分にとって大切な人々との関係を築くことを推奨しています。
Meaning(意味や目的):自分自身の行動に意味や目的を見出すことが、幸福感につながるとされています。セリグマンは、「自分自身や他者のために何かをすることが、人間が幸せになるための最も重要な要素である」と考えています。
Accomplishment(成就感):目標を達成したり、自分自身が成長したりすることが、幸福感につながるとされています。
セリグマンは、「自分自身が何かを達成し、成長していると感じることが、人間が幸せを感じるための重要な要素である」と主張しています。
以上のように、セリグマンは幸福感を構成する要素としてPERMAモデルを提唱し、それらの要素を取り入れることで、幸福感を高めることができると考えています。
ソニャ・リュビチッチ
心理学者であり、幸福学の専門家として知られています。彼女の幸せについての考え方は、主に以下のようなものです。
1.「幸せ」とは、喜びや満足感といったポジティブな感情だけでなく、苦痛や悲しみなどのネガティブな感情を含む、全体的な感情のバランスであると考えられる。
2.幸せになるためには、ポジティブな感情を増やすことだけでなく、ネガティブな感情を適切に処理することも重要である。
3.人間関係は、幸せになるための重要な要素である。良い人間関係を築くためには、相手の感情を理解し、共感することが大切である。
4.自己肯定感を高めることも、幸せにつながるとされています。自分自身を受け入れ、自分の強みを見つけることが大切であると考えられる。
5.幸福感を高めるための方法として、感謝の気持ちを持つことや、目標を持ち、その達成に向けて努力することが重要であると提唱しています。
ダニエル・カーネマン
2002年にノーベル経済学賞を受賞。経済心理学者として知られている彼は幸福についても多くの研究を行っています。彼の考え方は、主に以下のようなものです。
・「幸福」は、人が経験する瞬間的な感情と、長期的な人生全体の満足度という2つの側面から構成されると考えられる。
・人が幸福を感じるためには、金銭的な豊かさや地位などの外的な要因よりも、人間関係や自己実現などの内的な要因が重要である。
・人間の判断や意思決定には、個人の認知的バイアスが影響を与えることがある。例えば、過去の体験に基づく「リスク回避のバイアス」や、自己正当化のバイアスなどがある。
・幸福になるためには、ポジティブな感情を増やすことが重要である。
彼は、ポジティブな感情を増やすためには、人々が自分の強みを活かすことや、好奇心を持つことなどが効果的だと考えています。経済的な成功や物質的な豊かさが、人々に幸福をもたらすという従来の考え方に疑問を投げかけています。そして、幸福感には物質的な豊かさよりも、人間関係や自己実現などの内面的な価値が重要であると考えています。
前野隆司氏
日本の学者。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授兼慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長
人間は、どのようなときに幸せを感じるのかを明らかにするために、アンケート調査とコンピュータによる因子分析を実施。その結果、幸福感と深い相関関係がある下記の4つの因子の存在を提唱している。
「お金をたくさん得ること」「物をたくさん持つこと」「地位や名誉を得ること」による幸せ(Well-being)は長続きしません。一方、「良好な環境(安全)」「良好な身体の状態(健康)」「良好な心の状態」による幸せが長続きすることは、調査の結果明らかになっています。
次の4つの因子を持つことにより、「良好な心の状態」になり、幸せをつかむことができます。
①自己実現と成長(「やってみよう」因子)
夢、目標、自分の強みを持ち、夢や目標を達成しようと努力する。
②つながりと感謝(「ありがとう」因子)
多様な人とつながり、感謝する。
③前向きと楽観(「なんとかなる!」因子)
物事を前向きに、また楽観的にとらえる。
④独立とマイペース(「あなたらしく!」因子)
自分らしく、他の人に左右されずに、マイペースで生きる。
これらの4つの因子が揃ってこそ、幸福度は増すといいます。
まとめ
幸せな生き方とは、人それぞれ異なると言えますが、
自分自身を受け入れること:自分自身を受け入れ、自分に対して優しく接することが大切です。自分自身を否定したり、他人と比べたりすることは、ストレスや不幸感の原因となることがあります。
自己実現と成長:人生には意味があると信じ、自分自身にとって意味のあることを見つけることが大切です。自分が本当にやりたいことを見つけ、それに向かって進むことが、幸福感を高めることにつながります。
健康的な生活習慣を身につけること:身体的に健康であることは、心理的な健康にもつながります。適度な運動、バランスの良い食事、十分な睡眠などの健康的な生活習慣を身につけることが大切です。
感謝の気持ちを持つこと:自分自身に与えられたものに感謝し、周りの人々にも感謝の気持ちを持つことが幸福感を高めることにつながります。毎日、自分が持っているものに感謝することを意識するようにしましょう。
社会に貢献すること:自分自身にとってだけでなく、社会に貢献することが幸福感を高めることにつながります。自分が持っているスキルや知識を活かし、社会に貢献することで、自分自身の存在意義や価値を感じることができます。
人との関わり:自分にとって大切な人との人間関係。周りの人との関わりや身近なコミュニティー内での活動が幸福度を高める。
様々な出来事や感情との向き合い方:心地良い感情や安心感、ポジティブな感情は幸福感を高める。ネガティブな出来事や感情を適切に処理できる力も幸せに生きる上で大切である。
以上のような要素をバランスよく取り入れ、自分自身が幸せと感じられる生き方を見つけることが、幸せな生き方につながると言えます。
幸せとは、個人的な主観に基づいた感情的な状態であり、それぞれの人にとって異なる意味を持つものです。一般的には、自分自身や周りの人々との関係に満足し、自分の目標や欲求が満たされ、穏やかな気持ちで過ごせる状態を指します。また、物質的な豊かさや健康、自由や安全などの条件が整っていることも幸せに影響を与えることがあります。しかし、幸せは一時的な感情ではなく、長期的な満足感を伴うものであるため、個人によって幸せを感じる方法や状況は異なると言えます。
いかがでしたでしょうか? 「自分にとっての幸せとは何なのか」 自分の心の声に耳を傾けて、自分にとっての幸せな日々を過ごされますように。